- A. 1995年に起きた阪神淡路大震災以降、瓦は急激に用いられなくなりました。たしかに現在広く普及されているスレート瓦(カラーベスト)に比べて、瓦は重いです。「重い屋根は地震に弱い=瓦屋根の家は地震に弱い」ということから、そのようなイメージが広まったのだと思います。しかし、スレート瓦は「あまりお金をかけずに家を建てる」ということを魅力としているため、「耐久性」という点では瓦のほうが優れているとも言えます。
木造住宅の倒壊解析ソフト・wallstat(ウォールスタット)を使ったシュミレーションによると、耐震基準の評点が1を下回る建物は多少の時間差はあるものの、屋根の重さに関係なく倒壊しました。この結果から瓦の問題ではなく、大きな地震レベルになると屋根そのものの耐久がむずかしいということがわかります。
また、関西地方特有の「瓦の葺き方」にも要因があると言えるでしょう。棟に土を積めるのは全国一般的ですが、地瓦の下にも土を積めてる「土葺き」を主流とするのは関西地方に多く見受けられます。大量の土をのせるため、屋根自体が重くなってしまうことも…。地震倒壊のリスクを回避するため、土葺きではなく、スレート瓦や金属瓦が増えていったのです。
さらに、以前は新築住宅を建てる際、「4号特例」を用いた動きがありました。4号特例とは建築確認申請の際、500平方メートル以下の木造2階建て住宅は構造強度の審査書類を省略できるという建築基準法です。実際には耐震強度がなくても建築申請ができると解釈して、構造強度の低い瓦葺きの住宅が増えていきました。それが「世間で瓦は地震に弱い」と言われてる原因です。なので、屋根より下の構造駆体がしっかりしていれば問題ありません。